日本肢体不自由教育研究大会
(以下、 「研究大会」という。
は、昨年
し、
記念青少年総合センターを会場に実施しました。 
  北は北海道から南は沖縄県の全国より特別支援学校、大学の先生方
一一二名に参加していただきました。前日には、宮崎県沖の大地震が
ありました。多大な被害を受けた方々への心からのお見舞いと、いち
早い復旧をお祈りいたします。大地震の翌日でしたが、九州・四国か
らも予定通り参加されたことは、運営委員一同ほっとしたところです。
  開会式の際には、主催者のほか、共催団体を代表して特別支援学校
肢体不自由教育校長会会長
(東京都立光明学園統括校長)
の島添聡殿、
援団体を代表して独立行政法人国立特別支援教育総合研究所上席総括
研究員の吉川知夫殿にもごあいさついただきました。本研究会や各学
校の教員に対する激励のお言葉もちょうだいし、大変感激いたしまし
た。
 
調は、
別支援教育課特別支援教育調査官の菅野和彦氏に「特別支援教育にお
ける肢体不自由教育への期待」と題してお話しいただきました。この
基調講演では、国の学校教育と特別支援教育の動向、肢体不自由のあ
る児童生徒の状況と教育の質の担保、自立活動の指導など、最新の情
報と肢体不自由教育の今後への期待を具体的にご教示いただきました。
  午後に開催したセミナーでは、昨年度に続いて「自立活動の指導の
カリキュラム マネジメント」 「自立活動の指導の課題設定と評価」の
二つのテーマと、本年度新たに加えた「指導の効果を高める姿勢づく
り」の三つのテーマを取り上げました。いずれのセミナーでも、肢体
不自由教育を含む特別支援教育の最前線で、全国的にご活躍されてお
られる先生方を講師にお願いしました。基調講演や各セミナーの概要
については、次ページ以降の報告をご覧ください。
  近年教員には、働き方改革が求められるほどその業務の多忙さが問
題となっております。夏季休業中も校内・校外での悉
しっ
皆研修への参加
や校務分掌の業務の遂行など、多忙な日々を過ごされていることと思
います。また、世間では「コスト パフォーマンスやタイム パフォー
マンス」が求められるようにもなってきています。そうした状況の中、
全国各地より参加された方々の熱心に研修する様子を目の当たりにし、
主催者として大いに力をいただきました。猛暑日の開催でしたが、体
調不良者は一人もおらず、成功裡
に研究大会を終了することができま
した。運営委員を代表し、ご参加の皆様方に厚く御礼申し上げます。
研究大会報告
第四十八回日本肢体不自由教育研究大会を終
大会会長 
西川  公司
(特定非営利活動法人  日本肢体不自由教育研究会理事長)
研究大会報告
40
  調   
  調   
 
調
 
半は
調
由教
  国の動向と特別支援教育
 
 
 
 
び外
を周する
  特別支援教育の動向
 
 
菅野 和彦氏
(文部科学省)
41
肢体不自由教育 No.266 2024
 
生徒
 
進め
  特別支援教育の現状
 
調
 
  
 
 
 
によ
せな
 
  自立活動の指導と各教科等
の指導との関連
 
 
に改
大き
 
止め
 
 
個別画を含む
 
研究大会報告
42
 
は、
に、
における教育課程編成とカリキュ
ラム・マネジメント、また自立活
動の理念と個別の指導計画作成シ
ステムについて学びました。講義
と数人のグループ協議で展開され、
参加者は二四名でした。
  特別支援教育における教育
課程編成とカリキュラム・マ
ネジメント
  一木先生は講義の冒頭で、特別
支援学校の教育課程の基本として、
教育課程の編成に関わる法規、授
業の工夫に関わる法規を取り上げ
て解説されました。中でも「日常
や「
とは授業の形態であって、教育内
容ではないということ、各教科の
指導と自立活動の指導とは、おさ
えておかねばならない違いがある
ことを、複数の事例をあげながら
わかりやすく示されました。
  特別支援学校の教育課程編成に
は、小 高等学校に比べて、学
校の裁量に委ねられる部分が多く、
それぞれの学校の教育への意図が
反映されているはずです。その選
択の根拠を説明できるようであっ
てほしい、子供が何を学んでいる
のか、ということに先生方一人一
人が自覚的になってほしい、と述
べられました。
  また、教育課程編成は管理職や
教務主任のみの仕事なのではなく、
自分の学校の子供の最新の情報を
もっているのは担任で、それが次
の日の授業や単元につながってい
くのはもちろん、教育課程の評価、
見直しにどのようにつながってい
ますかと投げかけられました。
  一木先生はその都度「先生方の
学校ではどのようになっています
か」と声をかけられ、参加者は前
せ、
情報交換や協議をしながら熱心に
学んでいました。
   自立活動の理念と個別の指
導計画作成システム
  セミナーの後半は、自立活動に
焦点化する内容となりました。一
木先生は、自立活動の指導を担う
教師は、自らが設定した指導目標
の不確実性から日々の授業だけで
はなく、保護者対応や外部専門家
との連携等においても不安を抱く
た。 
  このことから、自立活動の指導
を担う教師の成長を支える現職研
修の企画や実施は特別支援学校の
カリキュラム・マネジメントに不
可欠であると述べられました。
  日々の教育活動を研修の視点か
らとらえ直し、個別の指導計画の
作成の過程に誰がどのように関わ
るのか、そのプロセスに研修の機
能を付加できないかと提案されま
した。 自立活動の指導について、
つの授業を見て「こういう子なら
なってしまうのではなく、その指
導に至る道筋を先生たちで共有す
ることが大事であると確認しまし
た。
  セミナーの中では、一木先生が
考案された、学校の教育課程編成
のプロセスを整理したり、自立活
動の指導を担う教師に必要な知識
や技能の習得状況をチェックした
りするシートも紹介されました。 
 
は、
教員一人で解決できることではあ
りません。筆者自身も含め、セミ
ナーでの学びが参加者それぞれの
がっていくのか楽しみです。
(文責  武部  綾子)
 
セミー1
自立活動
43
肢体不自由教育 No.266 2024
  本セミナーでは、自立活動の指
導について、指導目標・内容の設
定及び評価の考え方を概観し、子
供の実態把握に係る情報の収集と
収束の手法を演習で学びました。
 
は、
し、
三四名が参加しました。
   指導目標・内容の設定のポ
イント
  北川先生の講義では、これまで
の特別支援教育の動向を踏まえて、
学習指導要領における自立活動の
目標や、教科指導と自立活動の指
導の違いについて解説がありまし
た。
  自立活動では、子供の障害によ
る学習上、生活上の困難を見極め
て指導していくことが求められま
す。そのためには、指導者が困難
にある要因や、課題をおさえてい
ることが個々の実態に即した指導
目標・内容の設定のポイントにな
る、と述べられました。
  続いて、個別の指導計画の作成
と活用についてお話しがありまし
た。自立活動において、個々の指
導目標・内容にはどうしても不確
実性を伴います。複数の指導者が
携わることで不安は解消されたと
しても、どのような手続きで、な
ぜこの指導を行っているのか根拠
を説明できる仕組みづくりが重要
である、と指摘されました。また、
個別の指導計画の作成においては、
複数の指導者によって分有されて
いる子供の情報をどのように共有
して合意形成を図るか、各学校が
自校の実情に合わせて創意工夫で
きるようになっている、とお話し
がありました。
  カード整理法を活用した実
態把握
(演習)
  子供の実態把握の情報について、
指導者間で共有を図る具体的な手
続きの一つとしてカード整理法の
活用があります。本セミナーでは、
使い、
た情報の収集と収束の仕方に係る
演習を行いました。
  参加者五~六人で一グループを
作り、録画された子供の様子を視
聴しました。一人一人の参加者が
重要だと考えた情報をカードに書
き出しました
(情報の収集)
。そし
て、グループごとにカードの内容
を読み合いながら、似たもの同士
で集め、見出しをつけて整理をし
ていきました
(情報の収束)
  続いて、それぞれの見出し同士
のつながりとして、 因果の関係、
た。
見出し同士の関係性から、子供の
全体像や、自立活動の指導で必要
となる課題を浮き彫りにしていき
ました。
  最後に、情報収束の結果を発表
しました。その後、北川先生から、
録画された子供について、困難の
背景にある要因や、自立活動で実
際に取り組まれた指導についての
解説がありました。
  評価のポイントと授業研究
の意義
  北川先生は、授業研究を日々の
る、
と意味付けています。自分自身で
に、
三つの評価
(①診断的評価、 ②形成
的評価、 ③総括的評価)
の機能を理
解し、学習活動の見落としや子供
の実態と学習活動とのズレに気付
くことがポイントになる、との解
説がありました。その際は、子供
の実態把握から、自立活動での学
習活動として外してはならない内
容を明確にしておくことは大切で
ある、と述べられました。    
(文責  尾﨑  至)
セミー2
研究大会報告
44
  今回のセミナーを企画するにあ
たり、肢体不自由教育の基礎・基
本となることを取り上げたいとい
う意図のもとに、検討を重ねてき
ました。基礎 基本といっても、
体不自由教育のそれは、多岐にわ
たりますが、学習の効果や、日常
る、
姿勢づくりについて、取り上げる
こととしました。このようにして、
セミナー3「指導の効果を高める
姿勢づくり」は、企画されました。 
  講師を務めてくださった藤本圭
司先生
(国立特別支援教育総合研究
所主任研究員)
は、 理学療法士の経
り、
経験から、理論だけではなく、演
習も含めての講義をしてください
ました。
  参加者は、四七名でした。
  ポジショニングの理論・演
  重度・重複障害のある児童生徒
の学習場面において、姿勢が良好
な場合は、児童生徒が教材に対し
て適切な視線を保ち、聴覚や視覚
情報を最大限に活用することを可
能にします。そのような環境下で、
児童生徒が主体的に意思表出や試
行する学習を展開することが重要
です。
  自立活動の六区分の一つである
「身体の動き」にも、 「学習に対す
る興味や関心、意欲を高め、集中
に」姿勢づくりに取り組むことが
必要であると示されています。
  講義はこのように基本的なこと
から始まり、藤本先生の指導され
たケースの動画を見ました。小学
部の児童が、腕をつって重みを軽
減することで、操作がしやすくな
るという事例でした。
  姿勢の工夫で学習意欲が引き出
された実践であり、講義の内容を
具体的に理解することができまし
た。 「できないことを課題にするの
ではなく、できることを活用して、
学習につなげる工夫をすることが
大事」という、藤本先生の言葉が
印象的でした。
  演習では、手首の掌屈・背屈の
違いで、物の握りやすさが違って
くることを、個々に手首を動かし
て実感しました。また、枕のある
なしによって、臥
位の姿勢の居心
地の良さがどれだけ違ってくるか
も、実感しました。参加者は三人
一組になり、お互いに顎の位置を
見定めながら、一番良い高さを探
し合いました。
 
姿
論・演習
  姿勢の中でも、腹臥位は排たん
や休息の姿勢として、よく行うも
のです。どのように腹臥位を取ら
せたらよいか、人形を使ったデモ
ンストレーションで学びました。
  そのほか、車いすの姿勢や、移
乗の際に気を付けることを、イラ
ストや写真によって確認しました。
見た目をまっすぐに整えるのでは
なく、無理のない、自然な姿勢を
保つことの必要性を、お話しくだ
さいました。
  最後に
  身体の取組に関する手技は色々
あるが、大切なのは児童生徒の実
態を把握して課題を導き出すこと
であり、色々な手技を、当てはめ
ることではないと、強調されてい
たことを心に留めたいと思いまし
た。
  肢体不自由のある子供の、場面
に応じた姿勢づくりについて、理
解を深め、よりよい実践につなげ
る大変貴重な機会となりました。
(文責  武井  純子)
セミー3
姿
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肢体不自由教育 No.266 2024